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なぜか美術史、そのうち芝居(3)
前回、前々回に引き続き、しばらく美術史について書きます。

さて、前回は狩野派のことを書いたわけですが、
狩野派は、主に武家のために、絵を描いていた絵師達なのです。

江戸には町衆から生まれ、公家にも好まれた美術もありました。

それが琳派です。

国宝《燕子花図(かきつばたず)》尾形光琳(1658-1716)筆 根津美術館蔵
国宝《燕子花図(かきつばたず)》尾形光琳(1658-1716)筆 根津美術館蔵

尾形光琳は、もともと呉服商の息子でした。
彼が幼い頃から見てきたのは、着物のデザイン。

だからこそ光琳の余白は、背景という空間ではなく、下地と言った方がしっくり来るのかも知れません。
まるで、着物のデザインのような、配置と美しさですよね。


琳派には、絶対に外すことができない3人の絵師がいます。
それが、俵屋宗達(たわらやそうたつ)、尾形光琳(おがたこうりん)、酒井抱一(さかいほういつ)です。

俵屋宗達(1570年?~1642年?)
尾形光琳(1658年-1716年)
酒井抱一(1761年-1828年)

この3名は、生きた年代が微妙にずれており、お互いに会うことができませんでした。

国宝《風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)》俵屋宗達(1570年?~1642年?)筆 京都国立博物館蔵
国宝《風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)》俵屋宗達(1570年?~1642年?)筆 京都国立博物館蔵

重要文化財《風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)》尾形光琳(1658年-1716年)筆 東京国立博物館蔵
重要文化財《風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)》尾形光琳(1658年-1716年)筆 東京国立博物館蔵

尾形光琳は、俵屋宗達の風神雷神図を模写する事で、琳派の技法を取得したそうです。

こうやって見比べてみると、上の俵屋宗達の風神雷神は、
互いに攻撃を繰り出すタイミングを伺う、緊迫感がありますよね。

また俵屋宗達の風神雷神が、時代が経っているせいか体表が薄暗いのも、
雷雲の下で対峙する、不気味さも備えている気がしてきます。

逆に尾形光琳の風神雷神図は、風神と雷神の視線がしっかりと対峙しているのが特徴なのだそうです。

だったら俵屋宗達の左隻の雷神を、一段高いところに置きまして、
自分が風神雷神と対峙する、3体目の魔人として楽しんでしまえと思うのは、邪道でしょうか。


さて、尾形光琳が死んでしまって、また何十年か後の事です。
尾形光琳の風神雷神図を見て、感激したのが酒井抱一です。

酒井抱一は、その喜びから、
尾形光琳の風神雷神図屏風の裏面へ、自ら表装をするわけです。

その表装が、なんと今では重要文化財。

重要文化財《夏秋草図屏風(なつあきくさずびょうぶ)》酒井抱一(1761年-1828年)筆 東京国立博物館蔵
重要文化財《夏秋草図屏風(なつあきくさずびょうぶ)》酒井抱一(1761年-1828年)筆 東京国立博物館蔵

表も裏も重要文化財って、もはや、しまいようがないじゃないですか。

ちなみに今は、ちゃんと剥がして、別々に保管されているそうですけどね。
分離する前の、『おい。これ、どこ持つんだよ・・・』の瞬間、見てみたかったです。


ちなみに、酒井抱一も、尾形光琳の屏風を模写をしているんです。

《風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)》酒井抱一(1761年-1828年)筆 出光美術館蔵
《風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)》酒井抱一(1761年-1828年)筆 出光美術館

うーん。。風神や雷神が、毘沙門天に踏まれてる天邪鬼(あまのじゃく)程度に見えてくる・・・。

酒井抱一は、尾形光琳の屏風が、俵屋宗達の模写だとは知らなかったそうです。
俵屋宗達の方を模写したら、また違ったんでしょうかね。

それにしても、こないだ紹介した、
「鳥類真写図巻」を模写した円山応挙って、やっぱりすごいんだと思いました。

模写した方がうまいって、格が違うんでしょうね・・・。


ちなみに、琳派の特徴は『たらしこみ』の技法と『線描をしない点』です。

『たらしこみ』とは、
色を塗って乾かないうちに他の色を垂らし、にじみの効果を生かすものです。
風神雷神の足下が、それですね。

『線描をしない』というのは、
琳派はデザイン的要素が強いため、髪の毛一本一本を正確に書いたりは、しないわけです。

そこを本気で一本一本リアルに書いたのが、写実派になります。

次回は、写実派の円山応挙ですかね。
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