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【演出論】役になりきるために
2010年11/14(日)、11/15(月)からワークショップを開催するにあたり、
私の役作りに対するとらえ方について、若干知っておいて頂いた方がいいと感じ、
当日お話しする内容と重複すると思いますが、一部ここに記載致します。

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私がワークショップでお伝えする内容は、おそらく「技法」では、ありません。
役者の役作りに対する考え方の、根本からの修正と言った方が正しいかも知れません。


例えば、あなたが「医者A」を演じるとしましょう。

ちなみにあなたは医者ですか?

おそらく、医者の経験はないですよね。

では、あなたは医者を演じられないのか。

そんなわけは、ないですよね。
映画でもドラマでも、医者じゃないのに医者を演じている人はいっぱいいるわけです。

では、あなたは医者ではないが、誰か人を介護した時の経験があるとして、
それを役作りに生かせないかを、模索してるとします。

  -さて、私だったら、こう言います。

 「どんなに、あなたの中の経験を持ってきたとして、絶対に医者Aになれません。
  介護したのはあくまであなたの経験であって、医者Aの経験ではないからです。
  このままでは、あなたはいつまでたっても医者Aに見えてこず、あなたがそこにいるだけですよ。」と。


もしかするとあなたは、この医者Aは、祖父母を介護をした経験から、医者になることを志した。
などと、台本に書いてない背景をもとに、医者Aの役を作っていたのかも知れません。

  -そうであるならば、こう言います。

 「台本解釈とは、確かに台本に書いていない部分も読み解きますが、あなたの空想で物語を作ることではありません。
  書いてないことを表現する前に、まずは書いてあることを表現して下さい。」と。


ひょっとしたらこの時点で、あなたは大混乱しているかも知れません。
そしておそらく、この状況を打開するメソッドが存在するとされているのでしょう。

しかし私に言わせれば、そもそも「経験」から役作りしている時点で、間違いなのです。

あなたの経験がどんぴしゃりとあたって、
ひょっとしたら、その瞬間は、医者Aに見えたとしましょう。
でもあなたは、物語全編通して、医者Aで居続ける事ができますか?

おそらくできないでしょう。

役でいると言うことは、点の連続ではないんです。線にならなければならない。
あなたの描いた点がいかに本物に見えても、その点を過ぎればあなたに戻ってしまうのなら、その役作りは失敗です。


もう少し、踏み込んだ話をしましょう。そもそも芝居は、嘘ですよね。


あなたの嘘が、いかに現実のリアリティとリアル差を競ったところで、勝てるはずがありません。
リアルで勝負をした時点で、勝ちのない勝負に挑んでいる事に気が付くべきです。


そして、自分が演じるのは嘘であると、開き直るべきです。


役者が演じた嘘が伝える感動と、実際にリアルな瞬間の感動と、どっちが優れているかを競うからこそ、
嘘が真実を超えることができるのです。


ではあなたが、「安楽死を行っている医者A」を演じるとしましょう。


あなたには、安楽死を行った経験は、おそらくないですよね。
でも、台本には、安楽死を行うと書かれている。


さて、どうするか。


まずは役者として、安楽死をしてみたらいいんですよ。何も考えずに。


で、あなたが何を考えるかとかも、ぶっちゃけどうでも良いんです。

台本には、次に医者Aが何を言うかが書かれていますよね。それを、言えば良いんです。

あなたの経験に基づいて、医者Aがどう言うかを考えて台詞を言うから、嘘っぽくなるわけです。
医者Aが言うって台本に書かれているなら、言えば良いんです。

そこがまず、大前提です。

台本には、やることと、言うことが書かれてますよね。
まずはそれを、書いてあるのだから、やればいいんですよ。

ようは、あなたが医者に見えるかどうかも、ぶっちゃけどうでもいいんです。
ようはAは安楽死をする人であり、Aが医者であることは、台本の言葉が保証してるんですよ。
Aの台詞を言えば、あなたはAに見えてくる。そうすれば自然と医者に見えてくるわけです。

Aの台詞を、Aの台詞として言わないから、あなたはいつまでたってもAに見えてこない。
Aになる前に、医者になろうとするから、いつまでたってもAにも医者にもなりきれない。

そこに気が付けましたか?

え?それではオリジナリティがでないとお考えですか?
あなたのオリジナリティは、やるべき事をやった上で、その上でどう表現するかにかかってます。
あなたは安楽死をする事。医者Aの台詞を言う事をやれば、誰が医者Aを演じても同じだとお考えでしょうか。

違いますよね。


だからこそ役者とは、誰もがやれる職業ではないんです。


繰り返しますが、私がワークショップでお伝えする内容は、おそらく「技法」では、ありません。
役者の役作りに対する考え方の、根本からの修正と言った方が正しいかも知れません。

私のワークショップは、みんなでわきあいあい稽古する、愉快なワークショップではないでしょう。
ただ人によっては、霧が晴れていく感覚を手に入れると思います。


あなたは、演技と読解のワークショップで、何か掴めそうですか?
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