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【演劇論】 うなずきの意味
親友である、女二人の会話の戯曲である。


 A:たぶん、Bも同じ事考えてるでしょ。
 B:(うなずく)
 A:やっぱり、あいつ殴って良いよね。
 B:(うなずく)
 A:あたしがどんだけ辛かったかなんてさ・・・、
 B:(うなずく)
 A:関係ないんだよね。あいつをここに、呼び出してくれる?
 B:(うなずく)
 A:それで・・・、どうしよっかな・・・。
 B:(うなずく)




上の戯曲は、私がいま書いたものである。

Bは台詞を発するわけではない。
Aに対して「うなずく」というリアクションをとるだけである。

Aが決心をし、それを行動に起こそうとするところにドラマがある。
では、Bの「うなずく」という行為の中にも感情の動きがあり、
Bのいかた(板の上での存在の仕方)が変わっていることは、想像できるだろうか。

Bは、ただうなずいているわけではない。
当然だが、Bのうなずきの中にもドラマがある。



先日職場で、上司が持っていたビジネス書、
「人を見抜く」(著:渋谷昌三)を手に取り、読む機会があった。

その本には、

 ビジネスの世界では、
 相手がうなずきながら自分のプレゼンを聞いてくれたとしても、
 プレゼン終了後に、契約に至らないことがある。
 うなずきには、5つのパターンがあることに注目しなければならない。

と書かれていた。

その5つとは、

(1)同意のサイン - あなたと同じ考えであることを示す。
(2)賛成のサイン - あなたの意見に賛成するという意思表示である。
(3)理解のサイン - あなたの話すことを理解していることを示す。
(4)受諾のサイン - あなたの指示に従うことを示す。
(5)伝達のサイン - あなたの話を聞いている事実を伝える。

である。


ではこれを踏まえて、もう一度、先ほどの戯曲を読み返してみて欲しい。
作家(私)がBの「うなずき」に込めたかったニュアンスを分かって頂けるはずだ。


 A:たぶん、Bも同じ事考えてるでしょ。
 B:(うなずく)
 A:やっぱり、あいつ殴って良いよね。
 B:(うなずく)
 A:あたしがどんだけ辛かったかなんてさ・・・、
 B:(うなずく)
 A:関係ないんだよね。あいつをここに、呼び出してくれる?
 B:(うなずく)
 A:それで・・・、どうしよっかな・・・。
 B:(うなずく)





私は、これが『台本を読む』ということなのだと思っている。
Bを役者が演じる上で、どのようにうなずきたいかは、二の次だ。


例えばこのうなずきを、全て『同意』でとらえ、
髪の毛をバッサバサさせながらうなずくこともできる。

だがしかし、
はたしてBがそのようなキャラクターであることは、どこに書かれていただろうか。


その方が、確かにおもしろいかも知れない。


でも、作者(私)の伝えたかったこと、
つまりAとBに出して欲しかった空気感は、そのようなものではなかったのだ。



戯曲を読む上では、
あなたが役をどう演じたいかを考えるのではなく、
役になる糸口を見付けなければいけない。

余計なフィルターが取り除かれさえすれば、
誰にでもこの「うなずき」に、どのような想いが込められているか分かるはずだ。



では今度は、先ほどの戯曲に「うん。」という言葉を加えてみる。


 A:たぶん、Bも同じ事考えてるでしょ。
 B:うん。(うなずく)
 A:やっぱり、あいつ殴って良いよね。
 B:うん。(うなずく)
 A:あたしがどんだけ辛かったかなんてさ・・・、
 B:うん。(うなずく)
 A:関係ないんだよね。あいつをここに、呼び出してくれる?
 B:うん。(うなずく)
 A:それで・・・、どうしよっかな。
 B:うん。(うなずく)



さて、あなたの『うん。』の音は、すべて違っただろうか。


感情を込めて『うん。』を言おうとすると、嘘っぽくないだろうか。
あなたはニュアンスを理解した上で、素直に『うん。』と言えばいい。


『うん。』は『うん。』でしかない。

しかし、この『うん。』の響きは、
限りなく深い事に、あなたは気付けただろうか。


『うん。』


ほら、あなたの今言った『うん。』

いい音でしょ?
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