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【演劇論】 笑いとステータス
演劇において『ステータス』がどう笑いに影響するかは、
劇作家である平田オリザ氏が、その著書「演技と演出」にて記述している。

あいにくその本が見あたらず、
記憶をたぐりに内容を引用させて頂くが、

チャップリンがバナナの皮で滑るのと、
サザエさんがバナナの皮で滑るのは違う。 という話であったと思う。

平田オリザ氏はチャップリンとサザエさんの、
両者の『ステータス』の違いに注目している。

両者とも、バナナの皮ですべる点は一緒である。
しかし、サザエさんがバナナの皮で滑るのは、
バナナの皮で滑ったことが面白い、
もしくは転んだ格好が面白いのに対し、

チャップリンの場合、
タキシードに蝶ネクタイという姿の人がバナナの皮で滑るという、
高貴な人の滑稽さを笑っているというのである。

ステータスがその人の人物像に深みを与えており、
それが笑いに添加されていると言うのである。

             (著書を発見次第、正確に記述します。)


次に、前回例としてあげた漫才師(芸人)とステータスについて考察する。


  ①やすきよ(やす・きよ)」
  横山やすし:非常識なことを言う(時々発言が非常識なやすしがあえてつっこむ。)
  西川きよし:現実的なことを言う
  現実のライン:西川担当

やすきよは、西川きよし氏と横山やすし氏の両方にステータスがある。

品格を備えた西川きよし氏が、
破天荒な横山やすし氏の発言をツッコミで訂正するので、
非常にわかりやすく、安心して笑えるのである。

もしくは、品格を備えた西川きよし氏が、
破天荒であるはず横山やすし氏に振り回されている姿が実に面白い。


  ②爆笑問題
  太田光  :非常識なことを言う(一見常識的な太田がボケる)
  田中裕二 :現実的なことを言う
  現実のライン:田中担当


爆笑問題は、太田光氏の方にステータスがある。
賢い発言を続けてきたかと思えば、いきなり壊れる。
田中裕二氏は、観客の代表としてお客さんと同じ立場からつっこむ。
その為、田中裕二氏はお客やゲストの意識が、
自分と同じであるように向けることに、非常に気を使っている。


  ③オードリー
  春日俊彰 :非常識なことを言う(発言が非常識な春日があえてつっこむ)
  若林正恭 :現実的なことを言う
  現実のライン:若林担当


オードリーは、説明とか抜きに好きなのだが、
春日氏が演じているのは、紛れもないキャラクターである。
そのため若林氏が、必死でお客とのコミュニケーションを取ろうとする。

今までの3組に共通して言える事は、
現実のラインを引く担当者が、
積極的に観客と同じ目線でいようとする点である。
その為のアピールを欠かさない。

だからこそ、お客は安心してみていられるのである。
春日だけでは不安で不安でしょうがない。


またステータスは、
時に主人公を身近に感じさせ、
時に住む世界が違う主人公故の葛藤を、描くことを可能とする。


先日、役作りにおけるリアクション型とステータス型の話をしたが、
現実のラインを引くのを得意とするのは、ステータス型の役者である。

ステータス型は何が起ころうと、自分の立ち位置を見失わない。
もしくは、何が起ころうと変われないので、
そこにラインが生まれやすいのだ。


それに対して、

  ④笑い飯
  西田幸治 :非常識なことを言う(非常識と思いきや、現実的につっこむ)
  哲夫   :現実的なことを言う(常識的と思いきや、ボケたりもする)
  現実のライン:ダブルボケのため相方がつっこみ、現実のラインを引く
         もしくはお客自身が自分の中に引く

笑い飯の場合は、ちょっと違う。

笑い飯の場合は、哲夫が冒頭で話をしきる。
これは今までの3組と同じように、
現実のラインを引いていることになる。

しかし後半は、ダブルボケの為に、ツッコミも両者持ち回りとなる。
これは大変冒険的であり、ある意味なんでもありの状況になる可能性もある。

そこで彼らは、何でもありの状況にしないために、
とてつもなくシンプルな題材を、ネタにする。

つまり観客が、自分の経験で必ず知っているようなことを題材にしてボケるのだ。

これがある意味、笑い飯の弱点ではないかと思う。
言うなれば、防御無視のダブル攻撃。

その為、成功すれば大きな笑いになるが、
不発になる危うさを常にはらんでいるのが、彼らである。



演劇の中でも、なんでもありの中で、お芝居が展開する場合がある。
それが、ナンセンスコメディの世界である。

次回は、ナンセンスコメディにおける現実のラインの話をしたい。
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