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演劇とコントと映像における物理的距離とリアリティの関連性(1)
昨日のブログで、文学座の「ナシャ・クラサ」を見てきた感想を書きましたが、
演出効果にも、色々と考えさせられることがあったので、自分の今後のためにまとめておきます。

今回の話は非常にややこしく、大半の人が、私が何を言ってるかわからないと思います。
事前にお詫びしておきます。


まず、私が考える役者の基本動線について書きます。

演技の基本動線

図1をご覧下さい。私は動線を3つのケースに分類して考えています。

1.切り込み動線
2.回り込み動線
3.自由動線(1.2.に含まれない自由な動線)

ちなみに、この「切り込み動線」「回り込み動線」「自由動線」は私が説明するために便宜上名付けただけの名称であり、演劇用語ではありませんので、ご注意下さい。2の回り込み動線は、例えば2人の侍が刀を抜いて対峙した場合、互いに近寄ることも遠ざかることも容易ではなく、均衡した関係性を描く上で有効な動線です。

これがコントとなった場合、1の切り込み動線だけで演じられるケースが多い気がします。つまり客席に対して平行な、相手に寄るか、相手から離れるかの動きだけで、舞台の奥行きを使おうとしません。コントが奥への動きや回り込みを嫌うのは、コントは主に客席に体を開いて展開するケースが多く、かぶるという行為を嫌がるからなのかも知れません(図2)。

その点、以前に演劇的コントとして紹介した、バナナマンのコント『Are you satisfied now?』では、設楽さんは自転車で舞台後方に登場し、拳銃を引き抜いたあとに、回り込み動線を利用しています。安易に日村さんの横に出てくることはしないわけです。また設楽さんが降りた自転車が舞台後方に残っている事により、自転車が空間に奥行きを持たせ続け、回り込みの強調にも一役かっています。この空間の広がりも、このコントを演劇的と感じさせる要素の一つと言えるでしょう。

映像においても動線を意図的に見せる場合が存在します。火曜サスペンスにおいて船越英一郎さんが犯人を崖に追い詰めるシーンは、引きの映像で取られます。しかし、映像が演劇やコントと大きく違う特徴は、視点が変化する点です。犯人が崖から飛び降りるシーンは、役者の抜きの映像になります。映像においての引きの映像というのは、空間を説明するための意味合いが強く、事件が起きる瞬間の決定的な物理的距離には、あまり踏み込みません。例えば、船越英一郎のその1歩の踏み込みが、犯人のテリトリーを犯す決定的なものとなり、その1歩が犯人にとってどれほど苦痛であったかは、最近のテレビは描かないわけです。

おそらくそれは、演劇は舞台上のどこを見るかを観客に任せているのに対し、映像はカット割りにより視聴者の視点を固定するために、物理的距離が心理にいかに影響を及ぼしたかを描写すると、技法に走った説明的映像となりがちになるため、距離と心理に関する描写を、作り手が意図的に避けているのかも知れません。

映像に関してもう一点だけ。映像には、イマジナリーライン(想定線)という概念があり、基本的にはイマジナリーラインを越えていく映像展開は、タブーとされています。つまり、1シーンは通常片方の面から撮影するべきであり、いきなりイマジナリーラインを越えた映像を入れると、視聴者が空間を見失ったり、登場人物がテレポーテーションしたように感じてしまうという話です。Wikipediaにおけるイマジナリーラインの説明が詳しいですので、よろしければそちらもご覧ください。

映像におけるイマジナリーライン

例えは、こないだNHKでも再放送されていたアニメ「日常」のオープニングでも、イマジナリーライン越えが起きています。

アニメ日常におけるイマジナリーライン越え


言われてみないと気付かないと思いますが、ちょっとした違和感がありますよね。
実は、昨日見てきた「ナシャ・クラサ」でも、同じような現象が起きていたのです。

誤解をされないように、結論から先に書きますが、私は高瀬さんの「ナシャ・クラサ」の演出を見て、自分が考えていた演劇の表現の可能性が広がりました。映像だと違和感が出てしまうイマジナリーライン越えですが、演劇においては、私の想像し得なかった効果を生んでいたのです。そのためにも、「ナシャ・クラサ」における演出について、自分なりに整理していこうと思います。

長くなったので、演劇とコントと映像における物理的距離とリアリティの関連性(2))へ続きます。


本日は、日常のオープニング映像でもお楽しみ下さい。

抜粋したカットは、1:10ぐらいです。

《「日常」オープニング ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C》


さすが京アニ。動く動く。
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