スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
レナード・バーンスタインとカラヤンから学ぶ演出論

指揮者の佐渡裕さんが、恩師のレナード・バーンスタインについて語る番組
こだわり人物伝 ~バーンスタイン 愛弟子が語る~が、今から2年前のNHKのプレミアム8で再放映されました。

この番組の中で佐渡さんは、バーンスタインとカラヤンの、二人の指揮のタイプの違いを語っています。

放送開始39分(第二章終盤)より録画を見て書き起こしました。

==================================

◆佐渡:カラヤンの指揮姿というのは、この・・・、ちょっと立ちますね。この・・・両手の中にね、こうやって目をつぶって振ってるでしょ。カラヤンの指揮というのは、この両手の中に自分の理想のオーケストラがいる。自分の目の前に、ベルリンフィルなりウィーンフィルなりという、すばらしいオーケストラがいるにもかかわらず、ある種それを無視して、目をつぶって、この自分の腕の中に、理想のオーケストラを描いている。ここにあのバイオリンが鳴ってて、ここに木管楽器が鳴ってて、コントラバスが鳴ってて、それがある音楽のクライマックスが来たときに、それをバァアアアアンと解放する。すると、この腕の中にいた理想のオーケストラと、実際目の前にあるオーケストラが、実はその瞬間に、バァアアアアンとやった時に一致する。この時にカラヤンマジックがドカーンと起こるわけね。

◆佐渡:レニーの場合は、あの、指揮台に上がった瞬間から、「おぉー田中君。」「おぉー林君が吹いているのか。」「おお久しぶりだな。お前どこであったっけ。あぁぁ!」みたいなことが、もう、色んなそうやりとりが行われていて、一人一人苗字と名前が付いたメンバーで、ここで音楽作っていると。だから、もう指揮の仕方も、何もかも最初からすべてがオープンで、「音楽の神様のもとに、俺も田中君も山田君もみんなが一つになって、行くんだ。」で、このたどり着くとこってのは実は一緒だと思っている。僕は。

◆佐渡:カラヤンの、こうやって、こっから現実のオーケストラに行くのも、現実のオーケストラを、みんなが連れて行くとこも。その連れて行くとこというのは、不思議な力に操られた 人が鳴らしているんだけれども、神の存在が・・・音楽の神様がいなければ、こんな瞬間にはありえないという。ある種、オーケストラの快感というかな。そういう、こうエクスタシーみたいなところに連れて行かれるっていうのが、この二人の全然違うアプローチにしかたであり、共通点だと思う。

==================================


レニーというのは、レナード・バーンスタインの愛称です。

私なりに二人の指揮を分析すると、

●カラヤンは、自らの強烈なイメージで、カラヤンの腕の中に理想のオーケストラを描きます。
演奏者は、そこに確かに、カラヤンの理想のオーケストラがある事を実感し、自分もそこに行きたいという思いを強めます。
つまり、演奏者に嫉妬心と向上心を持たせます。そして機が満ちた時、演奏者が、カラヤンの理想とシンクロするわけです。

●バーンスタインは、演奏者を心理的にリラックスさせ、力みを取り除きます。
自分も演奏者側の方におりてきて演奏者を解放していくことで、演奏者同士のケミストリー(化学反応)を起こさせます。
バーンスタインは演奏者の目の前の霧を取り除き、自らが先導して、全員で、理想の音楽へと歩み始めるのです。


以前に文学座の林田一高さんが、高瀬久男さんと西川信廣さんの演出の違いについて教えてくれたことがあります。


記憶をもとに林田さんが仰っていた事を文章に起こすと、こんな感じであったと思います。

高瀬さんと自分(林田)はよく仕事でご一緒するんだけど、高瀬さんの演出は怖いんだよね。役者に隙を作らせない。
高瀬さんの圧倒的な台本の読解力のもとに稽古が進む。すべて見透かされているんじゃないかと思うときもある。
でもそれは、役者としてはとても刺激的で楽しいんだよね。

西川さんの演出は、またちょっと違って、西川さんは、基本的に役者の手柄にしてくれるんだよね。
「それいいね。それで行こう。」と役者が気持ちよくなっているうちに、いつの間にか西川さんの舞台になっている。
役者をその気にさせておいて、最終的に美味しいところを、ちゃんと持って行くのが西川さんのすごいところだよね。


恐らくこの二人は、

◆高瀬久男さん=カラヤンタイプ
◆西川信廣さん=バーンスタインタイプ

ではないかと、思うのです。


役者さんにも、色んなタイプがいます。

役に近づいていく役者さんもいれば、役を自分に引き寄せる役者さんもいる。


役に近づいていく役者は、カラヤンタイプの演出で、確固とした理想を示してあげれば良い。
役を自分に引き寄せる役者は、バーンスタインタイプの演出で、理想に導いていけば良い。

私は、この二人のどちらの指揮も、魅力的だなと感じているのでした。


《Karajan's Rehearsal -カラヤンのリハーサル-》


《レナード・バーンスタイン/わたしの愛するオーケストラ》
関連記事
トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 『すべて持ち込み可』. all rights reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。